最近投資家の方から、最近特に海外への送金に苦労するという声をお聞きします。日本の政府は、日本の個人マネーが流出することを恐れ、各金融機関に海外送金の抑制を促すよう窓口での指導を強化しているようです。
ある個人の投資家は海外で開設した自らの名義の口座に資金を送金するのに、送金目的を根掘り葉掘り聞かれたり、送金目的を証明する資料の提出を求められたり、とても外為取引を自由化している国の銀行とは思えないと憤慨していました。中国でさえ、年間5万米ドルまでは使途自由に送金が可能で、窓口で書類の提出は求められません。仮にマネーロンダリングの規定だとするのであれば、なぜ本人名義の口座の送金にそこまで目的や証明書類を求めるのでしょうか?ある顧客(弁護士)は、いったいどこの法律にそのような規定があるのか説明しろ、支店長を出せと怒鳴ったところ、窓口の人は手続きをしたそうです。
いかに日本の政府が、国債の買い取り原資となる個人の預貯金の海外流出を恐れているかの事例ともいえそうですが、銀行としても運用先の無い中で、日銀の0金利政策を良いことに金利0で調達して国債で利鞘を稼ぐことで、収益源としてきたわけですから、国民の財産の運用益を搾取したという意味では確信犯です。
今こそ、国民は資産の分散投資として海外に資産を持つことが、国が真剣に海外から資金を呼込むことを余儀なくされる状況を作り出すことになるのです。
海外からの資金の呼込みの具体策には、法人税の引き下げや、不動産譲渡税の非課税化などが一例です。ロンドン不動産は、非居住者には不動産の譲渡税は非課税です。日本の不動産などは、値上がりもしないのに相変わらず、5年超は20%、5年以内は39%のキャピタルゲイン課税が未だに残っています。
取れない税金を期待しても仕方が無いので、日本もイギリス同様、『海外から来た投資家にはキャピタルゲイン非課税!』などと日本に投資するインセンティブに見せたほうが、よっぽど日本に資金を呼込むことにも役立ちそうですが、いかがでしょうか?
少なくとも銀行窓口で小口の個人投資家の海外送金に嫌がらせするのは次元が低いのでやめてほしいと思います。
最近、シンガポールに視察に来る経営者、富裕層が増えています。
昨日お会いした愛知県の実業家(40代)が大学生の息子さんを連れて、数日間、都市(国)としてのポテンシャルや、投資資産分散先としてのポテンシャル、海外での事業展開の可能性などを検討のため、シンガポールを視察しておられました。
その結果として、まずは拠点作りから進めることを決め、シンガポールに設立する会社名義で市内中心部に住宅を購入することを決定されました。リークワンユー宅に近接する低層の超高級レジデンスです。
ご本業は、厳しい日本の経済環境の中でも順調に推移され、今後も安定的に収益は見込まれる段階にあるそうですが、それでも現在の日本の財政問題を考えると、日本円の資産のみでは不安でしょうがないとおっしゃいます。
この実業家の発想は、早晩円安に向かうときが来る、その時、中国を中心としたアジアマネーや禿鷹ファンドが、バーゲンセールとばかり日本に本格的に上陸してくるので、その時に備えて自分の会社や事業、資産を守る為には、今の円高のうちに円資産を一定割合外貨で運用しておきたいと言うものです。まさに自己防衛です。その為には、シンガポールに拠点を作り、シンガポールドルベースの資産を中心にマネーの出稼ぎをしておこうということのようです。(前回のブログと、日経ビジネスの9月5日号42ページの記事ご参照)
http://www.stasiacapital.com/archives/1548
確かに、ここ2−3日のシンガポールの新聞を見ていても、シンガポールのポテンシャルを伺える記事があります。
世界経済フォーラム(WEF)が発表したGlobal Competitiveness(国際競争力)ランキングで、シンガポールは昨年の3位から1つランキングをあげ、2位にランクされました。ちなみに、1位は昨年に続きスイス、3位は昨年2位のスエーデン、4位フィンランド、5位アメリカと続きます。
ちなみに日本は昨年の6位から9位に後退。アジアでは他には香港が11位(昨年11位)、台湾13位(昨年13位)、マレーシアが21位(昨年26位)、中国26位(昨年27位)、インド56位(昨年51位)などです。
また、10位以内でランクを上げたのは、フィンランド4位(昨年7位)、オランダ7位(昨年8位)デンマーク8位(昨年9位)イギリス10位(昨年12位)で、北欧がランキングをあげています。
このランクングは2004年から発表されていますが、国を12のカテゴリー(革新性、市場規模、インフラ、製造環境など)で評価をしているものです。
また、昨日は昨今、ドル安やユーロ安の中で、リスク回避通貨として円とともに高騰していたスイスフランに対し、スイス国立銀行は、これ以上のフラン高を阻止する為に1スイスフランに対し1.2ユーロを上限とする為替キャップをつけると発表しました。
これにより、リスク回避資産としては、金、円、シンガポールドルに流れが出て来るとの見方がでてきているとう報道がされています。(Business Times 2面)
シンガポールドルは、金利政策をとらず、為替コントロールで金融政策をコントロールするシンガポール当局の政策のもと、インフレが懸念される今、さらなる通貨高が見込まれています。最近セミナーでも使っている下の表の通り、購買力平価で見た場合には、主要通貨の中で米ドルに対し、まだ割安なのは、現在は、人民元とシンガポールドルであることからも、やはり中期的にもシンガポールドルは強くなると見られています。逆に、フランや円は、既に相当割高であり、円においては為替介入が控えていることからこれ以上、買われにくいと見るのが一般的です。また、財政再建の道筋ができなければ、今後はむしろ、日本の財政破綻に目がいく可能性があることから円安に向かう流れもそう遠いことではないでしょう。

また、昨日のニュースでは、アジアの株式市場の軟調な展開の中、国策ファンドであるTemasek Holdingsが香港上場の中国建設銀行の株を買い戻したと言う記事がありました。8週間前には、大量保有報告書でそれまでの保有比率を大幅に下げ、話題になっていたところ、売却時よりも20%下がったと見るとまた大量に買い戻して8%をこえる持ち分に復帰したということです。なんとヘッジファンドのような動きをする国策ファンドでしょうか?
仮にも中国4大銀行の一画である中国建設銀行の大株主がマーケットのすきを狙って、リターンの極大化を狙って大量にトレードするというセンスは、ある意味では資本市場としては当然のことかもしれませんが、日本的な株の持ち合いになれた感覚からは、驚きです。
いろんな意味でシンガポールに身を置くことは我々日本人に取っては勉強になるかもしれません。
今回は、予告を変更してシンガポールの話題でした。
今日から、東京に入りました。18日(土)は、Home’sの不動産投資フェアーがあり、このイベントに当社も協賛しており、対談式の講演会に出ます。
カリスマ不動産投資コンサルタントで、『逆算でかなえる人生とお金の法則』の著者・北野琴奈(同郷北海道出身)さんとの対談です。
彼女も昨年アメリカのLAで投資むけコンドミニアムを購入されたそうですので、その辺りのお話も聞ける企画です。
http://toushi.homes.co.jp/event/program/#
19日(日)は『チャイナマネーを追え』出版記念セミナーの東京での最終回です。(7月30日には大阪で行いますが、これが本当の最終回です。)
さて、昨日のThe Business Timesをみていたら、アメリカの超金融緩和政策(QE2)が各国の為替相場に大きな影響を与えているが、購買力平価(PPP)で見たとき,日本円やオーストラリアドルなど資源国は軒並み割高であるという結果がでたそうです。OECDが発表した数字によると日本は、理論値より57%割高とか。(表1参照)これは良く言われるマクドナルドのビッグマックは世界中で同価値であるというセオリーで、適正な為替レートを割り出す場合の指標に使われます。(ビッグマック指数)
下の表をみると、購買力平価から見て割安な通貨は人民元となんとシンガポールドルです。人民元は世界中から安すぎると言われており、当然という気がしますが、シンガポールドルは購買力平価の観点からもまだ上昇力があるようです。もっとも政府自体が、通貨高を志向していますから、当面上昇することは疑いのないところです。
一方、円についてはやはりかなりの割高ということで、ギリシャに隠れて財政危機があまり材料視されていないため、今のところここ2−3年の円高傾向が継続しているように見えますが、調べてみると今年の年初から円は対ドル以外には軒並み下げているのです。(表2参照)いわゆる不人気投票で最も人気のないのはダントツ米ドルですが、どうも次に円が来ています。日本では円高といえば、ドルに対してばかり見るのが常ですが、実はこの半年で風向きが変わって来ているように見えます。アメリカ経済はどうも当初予測より回復が遅れていて、超量的緩和(QE2)による株高資産効果や消費効果も息切れのようで、再び量的緩和の噂も出て来ましたので、しばらく円高(あくまで米ドルに対してですが)は続くかもしれませんが、世界的なインフレ傾向から各国は金利を上げる傾向にある為、じわじわと円は他通貨に対しては弱含むと思われます。いよいよ円安に向けてのカウントダウンが始まっていると見た方が良いかもしれません。ヨーロッパ、アメリカ経済が吹き返したら、今度は円は売られるでしょう。海外投資はいよいよ待ったなしです。
<購買力平価から見た、現在の為替レートと理論値との乖離>(表1)
| 通貨 | 現在値(対米ドル) | 購買力平価修正後理論値 | 理論値からの乖離 |
| ユーロ | 1.437 | 1.2 | 19.8% |
| 日本円 | 1.24 | 0.79 | 57.0% |
| 英ポンド | 1.63 | 1.46 | 11.6% |
| スイスフラン | 0.8377 | 0.6589 | 27.1% |
| 豪ドル | 1.0576 | 0.6568 | 61.0% |
| ニュージーランドドル | 0.8135 | 0.6536 | 24.5% |
| カナダドル | 1.026 | 0.821 | 25.0% |
| シンガポールドル | 0.8084 | 0.9174 | -11.9% |
| 人民元 | 15.26 | 29.94 | -49.0% |
| +は,過大評価,ーは過小評価 | 出所:OECD2010年 | ||
| 日本円は100円 | |||
<円の20011年6月15日の各国通貨に対し、2008年から年初と比較しての変動率>(表2)
今年に入って、円は米ドル(香港ドル)マレーシアリンギ以外は軒並み下落
