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5月 05
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GW前の4月26日に、全住協(一般社団法人 全国住宅産業協会)新規事業部会主催のセミナーの講師を務めました。テーマは、東南アジアにおける海外不動産投資事情でした。http://www.zenjukyo.jp/new_info/index.php?type=event

会員企業は、日本の中堅の不動産デベロッパーが中心の協会ですが、連休前金曜日の午後にも関わらす、多数のご参加をいただきました。

全住協では、私自身2度目の講演で、2年前には、『中国不動産市場の現状とチャイナマネーの動向』という、チャイナマネーが日本の不動産市場に取り込む所謂インバウンドがテーマでしたが、今回は、日本からいかに成長するマーケットであるアジア市場に、不動産業としてどう進出するかというテーマに関心が変わって来ていることを実感しました。

確かに、昨年来のアベノミクスのおかげで、日本の不動産業界にも明るい兆しが出て来ていますが、ご参加された企業幹部の中には、人口が減少して行く日本では、不動産産業としては国内だけで生き残るのは今後も熾烈な競争が避けられないため、近い将来を見据えて、海外、特にアジアへの進出に関心が高まっているようです。

現に、最近大手の不動産デベロッパーは矢継ぎ早に海外での不動産開発、投資を活発化しています。その辺りの背景と現状、問題点などを海外不動産コンサルタントの視点でお話をさせていただきました。

5月2日のシンガポールの経済紙『Business Times』にも、“It’s business as usual for most Japanese developers in Sinagapore” という見出しで、日本のデベロッパーがシンガポールでJVを組みながら、シンガポールで住宅開発をすすめていることを大きく報道しています。

三井不動産が1972年からHong Leong グループと、オリックスが1981年からUOLとパートナーシップを組んで比較的早くからシンガポールに進出していますが、主に地元富裕層をターゲットにした開発が多かったのですが、ここに来て三菱地所が2008年からキャピタランド、セキスイハウスが2010年からFar East OrganizationやFraser とJVを組んで地元実需層向けの住宅開発を進めていることを報じています。シンガポールでは、私もこのブログで何度もご紹介しているように、急速な外国人移民の受け入れや経済成長などにより、リーマンショック以降、不動産が高騰しており、政府が市場の加熱抑制策を次々と打ち出しており、ここ1−2年は、市場はかなり理性的になって来ています。そのとばっちりもあってか、記事の中では、三菱地所のJV開発(Bishan の住宅開発)では、2012年4月に販売開始した509戸のうち、今年の3月末までにわずか30%しか売れておらず、苦戦している例も紹介されています。

新興国の不動産開発は、成長のポテンシャルは大きいという魅力もありますが、政府の規制などが急に入って来るという政策変更リスクがあるため、成熟国とも言えるシンガポールなどでも、注意が必要な例です。

また、記事の中では、昨今のアベノミクスによる急激な円安(半年で25%)が日本のデベロッパーの海外での事業採算に悪影響が出るのではないかという視点で、三菱地所アジアや三井不動産の現地法人代表にインタービューしていますが、いずれも長期の投資であること、三菱はグループの総利益にしめる海外比率を2020年までに20%を目標としていること。三井は、シンガポールだけでなく、マレーシア、タイ、インドネシアにも積極的に進出する旨を表明しています。

マレーシアでは、今年に入り、三井不動産がKLでE&OとのJVを発表したり、パナホームやマリモも開発を進めているという発表がありました。インドネシア、ジャカルタでも豊田通商と東急がサービスアパートをリッポーグループと合弁で行うとの発表もありましたし、マリモは単独でやはりサービスアパートの建設を始めています。

急激な円安は、日本企業の海外進出には短期的な視点では、マイナス要因にも見えますが、国内での市場の飽和、縮小を考えれば、中長期では海外進出を進めざるを得ないということでしょう。また、産業的にもあまりにも円資産に偏りすぎるポートフォリオから、外貨資産を持つことの分散効果も将来懸念される円の暴落、ハイパーインフレへの対応策とも言えます。

また、三井不動産などは、海外でのブランディング作りの一環としても海外での開発を進めていると聞きます。結果、アジアの富裕層が日本の三井不動産の物件を購入に来るというインバウンドの効果も期待されるのかもしれません。

国内不動産の業績もアベノミクス効果でしばらく好景気が続く中、リスクを取り易い環境が来ているとも言え、海外への布石を打つチャンスが来ているということでしょう。日本の不動産業界の海外シフトは今後本格的に始まるかもしれません。

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