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7月 14
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最近、よくセミナーや、ホームページの問い合わせに、ジョホールバルの投資を検討していますが、おすすめの物件はありますか?視察ツアーはありませんか?というお問い合わせを受けます。

だからという訳ではないのですが、シンガポールに移住してからはじめて、昨日、日帰りでジョホールバルに行って来ました。

イスカンダル計画の目玉であるヌサジャヤのMedini地区は噂通りすごいことになっています。

なにがすごいって、全くの原野に無理矢理(失礼、そのように見えるので)道路をひいて政府(Kota Iskandal)の建物を建て、アジア初進出のレゴランドや海外から誘致した大学やインターナショナルスクールのボーディングスクールの建設が既に始まっています。

計画を見せられると確かに金融センターがはいっていて、教育、ウエルネス、商業、住宅があるので、すばらしいのですが現場に行ってみると、まだ見渡す限り原野。どことなく、雰囲気は90年代半ばの蘇州工業団地の造成がはじまったころか?





ふと、15年くらい前に上海浦東の東方明珠に登って、何もない造成地を見渡した時に、『本当に、ここに金融センターができるの?』という感想をもった時以来の衝撃です。

一方、あの頃、浦東でそういう絵をみせられ投資した日本人投資家の物件の処理(ほぼ半値で処理)をしたのも昨日のことのように覚えています。上海の場合は、その時点(90年の後半)で投資した方々は、なにせ早すぎたのです。

メディニ地区と、あの時の浦東と何が違うか考えてみました。浦東は94年当時は人も住んでおり、交通インフラができていましたが、ここは現在人が全く住んでいない全くの原野でスタートするということ。アクセスが今のところ高速道路だけ、(つまりアクセスは車)、ゴルフ場の立地に金融センターを作ろうというコンセプトです。また、推進する母体が中国(上海)とマレーシア(ジョホール)だということ。

クアラルンプール郊外にサイバージャヤという90年代マレーシア政府が鳴り物入りで建設したITパークと同じようにならなければ良いが。(どうも原野に大きな絵を描いてプロジェクトを行うやり方は今までマレーシアはあまりうまくいていないようです)とはいえ、おそらく、15年から20年のスパンでは、すごいことになる予感は確かにあります。(浦東は、開発開始から10年過ぎてから本格的に加速度がつきました。)

日本の投資家を最近話題のJBにご案内すると、クアラルンプール(KL)と比較して、JBがなぜここまで今まで発展していなかったことに皆さん驚かれます。

実際に、この地域格差は数字に表れています。

マレーシアの国民一人当たりにGDPは,約8,000ドルです。これが、KLになると17,000ドル、ジョホールは6,600ドルとKLの4割程度です。

また、この10年間のマレーシア内での不動産価格の推移をみても、10年間で毎年数パーセントずつ上昇しているKLやペナンにくらべ、JBの価格がほとんど上昇していないのがわかります。つまり今後のポテンシャルは大きいということは言えますが、一方なぜ上がらなかったかということも冷静に分析しなければなりません。

 



 

 

 

 

 

 

 

雇用が少なく、所得の低い層が多く、治安も悪いというイメージを払拭するため、まったく未開発の広大な土地で外国資本を誘致して壮大な町おこしをやろうというのがまさにイスカンダル計画のようです。

スケールには驚かされるのですが、箱物ができると何とかなってしまう中国のように本当に何とかなってしまうのか?

中国であれだけ箱物から入る開発をみせられてきた私でも、うなりたくなるスケールです。本当にこんなに投資がはいっても需要があるのか?

メディニ地区で最初に分譲マンションを販売しているデベロッパーの幹部にこの点を聞いてみましたら、以下のような回答が返って来ました。

『賃貸需要は問題ない。今のところ、ヌサジャヤではこのプロジェクトが最初の住宅なので、ヌサジャヤ地区での各プロジェクト関係者の住宅需要が見込めるからだ。』

なるほど、マカオでも同じ質問をしたが、全く同じ回答が返って来たのを思い出しました。プロジェクトを立ち上げると、宿泊、住宅、商業、娯楽、オフィスが必要になる。その通りだが、供給が需要を作り出すという理屈でどこも一斉に投資しているようだ。少なくとも今現在のインフラでは、現在のJBの住民が移り住んで来るには相当の時間がかかる、ならば外国人やシンガポール人が移り住んで来るという需要が創造されなければならない。

ある意味ドバイに通じるものを感じます。金が続いて、資金が入り続ければ、成長し続けるマーケット。供給サイドの理屈が先行する市場。実需からは、どこかかけ離れているような危うさがありますが、発展途上国はそのくらいのスケール感とスピードが必要であるともいえます。

どこまで海外投資家が支えられるのか?マレーシアの国策ファンドカザナインターナショナル傘下のイスカンダルインベストメントは投資企業とのJVで入りますが、ほとんど、国内、国外のデベロッパーや事業会社の資金頼みであるのは事実です。

ただ、ファイナンシャルセンターというコンセプトは理解できるが、このJBの山の中にいったいどうしたら、ファイナンシャルセンターができるのか?ここは本当に疑問です。KLがイスラム金融のハブにするという国際はわかるのですが、ジョホールのファイナンシャルセンターは、KLの補完なのかあるいはシンガポールのバックアップとして機能させるつもりなのか?(香港とシンセンの関係?)香港とシンセンは同じ国だが、シンガポールとマレーシアは隣接していると言っても所詮別の国。この辺の整理がまだできていない印象が拭えません。

ファイナンシャルセンターという名前のビルは建つとは思いますが。(中国ではそこら中にあります)

あの上海でもファイナンシャルセンターと呼べるのは建物だけで中身はまだまだ整っていない(特に人材の問題)のが現状です。

想像力の乏しい私の現時点での率直な感想です。

ただし、少なくとも最近のニュースで見れば、シンガポールのテマセクがカザナインターナショナルとMedini地区で合弁プロジェクトを合意しています。長年微妙な関係が続いていたシンガポールとマレーシアの国家間の懸案事項(マレー鉄道敷地の返還)の見返りの一つとして、はじまった合弁事業も、2国間の政治関係が好転した象徴としても特筆すべき出来事です。少なくともシンガポール政府のコミットが入ったというのは大変心強いニュースです。

今後、今話題のJBについて、現在はたしてどのような投資対象があるのか?

おいおい個別の住宅プロジェクトを取り上げて行きたいと思います。(続く)

 

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